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東海白樺山岳会ブログ

愛知県名古屋市にある山岳会です。仲間を募って山に登る会の運営、会員の登山記録、行事等の活動を発信しています。

草津白根山噴火の瞬間 黒煙、降り注ぐ無数の噴石


以下は産経ニュースから転載
黒煙、雨のように降り注ぐ噴石、あたりに立ちこめる硫黄臭-。群馬、長野両県境にある草津白根山の本白根山が23日、噴火した。麓にある草津国際スキー場(群馬県草津町)には雷のような爆音とともに黒い噴煙が空を覆い、無数の噴石がゲレンデを襲った。「一歩間違えれば命がなかった」。現場に居合わせた人々は、口々に恐怖の瞬間を語った。

 「ボコボコボコと変な音がした」。スノーボードをしていた川崎市の60代の男性が異変を感じたのは午前10時ごろ。その直後、地鳴りのような音とともに黒い噴煙があがり、噴石に襲われた。20~30センチくらいの噴石が左腕に直撃し骨折。背中などにもあたり、頑丈なウエアは破けた。

 「雨のようで…死ぬと思った。当たらないようにするのが精いっぱい。逃げようとするが、逃げ切れなくて…」。やっとの思いで柔らかい雪の陰に隠れた。平成26年に多数の死傷者が出た長野県の御嶽山噴火の報道が脳裏をよぎり、体を守るように小さくなった。噴石が治まるまで3分ほどだったが、長い時間に感じた。

 周囲を見回すと、スキー客1人と自衛隊員8人がいた。隊員でまともに歩けたのは2人。両足を骨折した人もいた。「自分で精いっぱい。息苦しい。硫黄臭がした。真っ暗だった。必死だった」。男性は身を守ったヘルメットや荷物を残し、歩いて下山。山は中腹まで灰色に染まっていた。

「日本人は誰でも被災者になる。いつ何が起きるかわからない。生きていてよかった」。男性は搬送先の病院で治療を受けた後、かみしめるように語った。

 草津町に20年以上住むという菅沼勝さん(73)は、噴火前、山頂のレストハウスでコーヒーを楽しんでいた。「バーン」という大きな音の直後に、窓の外が真っ暗になったという。

 「噴火です。地下のシェルターに逃げてください」

 従業員の叫ぶ声に押されるようにして席を立った。その直後、ガシャーンという大きな音。振り返ると50メートルほど先に直径20センチほどの噴石が落ちていた。天井には大きな穴が空いていた。無我夢中で地下に走った。

 シェルターには一時、40人ほどが避難。1時間ほど経過し、噴石が落ち着いたのを見計らって上のレストランに戻った。レストランには約80人が避難しており、従業員が提供した飲み物や軽食を口にしていた。

 「これから救助します。年配の方から順番に乗ってください」。午後3時前に自衛隊ヘリが到着すると歓声が上がった。「生きた心地がしなかった。命が助かってなによりです」。菅沼さんは胸をなで下ろした。

 東京都多摩市から妻とスキーに訪れた鈴木克典さん(77)は、ゴンドラで山頂駅に向かう途中に噴火にあった。真っ白な銀世界がみるみるうちに灰色に。ゴンドラは一度は停止したが、再び動き出して駅にたどりついた。麓のホテルで待つ妻に電話をかけ、噴火の発生と自身の無事を伝えたという。

 「混乱していて、何が起きたのかまだ把握できない」と困惑の表情を浮かべるのは警察関係者。スキー場内から救助された負傷者は「噴石があたった」「爆風に吹き飛ばされた」「雪崩に巻き込まれた」などと説明しているが、情報は錯綜(さくそう)しているという。
 噴火直後、草津町役場には爆発音を聞いた住民らから「大きな音がした。何か起きたのか」などと複数の通報が寄せられたが、重大事態に気づかない住民も多かった。町役場は白根山から直線で5キロほどだが、町職員は「音や揺れには、まったく気づかなかった」といい、通報で立ち上る噴煙に初めて気づいたという。
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[ 2018年01月24日 10:24 ] 山岳ニュース | TB(0) | CM(0)

八ヶ岳・北横岳は無事下山

北横岳登山は参加者6名で無事日程通りこなして下山しました。
一社夜9時出発現地12時30分頃着。216km。
夜の国道はほとんど雪がなく駐車場にも若干あったのみ。
Pの一角にテントを張ってビバーク。
翌朝はロ―プウェイ始発9時に充分間に合いました。
明るくなれば雪はあるところにはありました。(当たり前か)
9時半ころからアイゼンを履いて歩き始め1時間半で登頂。
坪庭から縞枯山も往復して下山。
3時頃出発、名古屋へは7時到着。

・・・・情報不足でした。テントと車中泊に分かれて仮眠しましたが暖房付きの仮眠室を利用すれば良かった。ロープウェイ始発駅の建物の1階部分は深夜から早朝に来るスキーヤー向けに仮眠室やトイレなどもありました。標高1750mなのでかなり寒かった。
 前もってHPからクーポン券をプリントすると乗車券が200円割引になりました。これは女性らが首尾よく印刷してきたので恩恵を受けました。
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[ 2018年01月24日 08:35 ] 雪山 | TB(0) | CM(0)

霧訪山下山

21日に、F本さん、S原さん、K本さんで、
諏訪湖の西にある霧訪山(小野登山口または山ノ神自然園からの往復)へ行きます。
気を付けて行って来ます。

霧訪山下山し、帰名しました。
天気が良かったので、北アルプス、八ケ岳、南アルプスの展望が最高でした。
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[ 2018年01月24日 08:29 ] 長野県の山 | TB(0) | CM(0)

御在所岳 本谷下山届け

1/21
御在所岳登山
岩I、I川
御在所ロープウェー駅➡本谷➡山頂➡中道➡御在所ロープウェー駅
8時間
本谷
本谷下部には殆ど積雪はありませんでしたが冬装備で岩場を行くのは、ボールドし難い事もあり時間が掛かりました。ジョーズ岩(三角岩)付近から積雪がやや増え、岩と雪の混在してるところではアイゼンの使い方に注意がいる状況でした。上部ではまとまった積雪があり、ピッケルを確実に打ち込んで支点確保して登って行きましたがスリップは許されない状況が続き緊張感を持って進みました。山頂は0度風もあり寒く感じました。小雪が舞い視界はありませんでした。岩Iさんの膝が良さそうなので予定通り中道にて下山しました。
報告  I川

今回は雪が少なくて残念でした。
ジョーズ岩の例年の雪の量(上の写真)と、今年の雪の量(下の写真)の比較です。
本谷
なお、ジョーズ岩から垂らされているトラロープが、擦り切れて今にもプッツリ、とても危険な状態でした。
張り替えられるまでは、ロープをつかまずに登ることを強くお勧めします。
報告 岩I

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[ 2018年01月24日 08:20 ] 鈴鹿山脈 | TB(0) | CM(0)

群馬 草津白根山が噴火 スキー場で雪崩 12人けが

群馬 草津白根山が噴火 スキー場で雪崩 12人けが噴石を確認
 気象庁は23日、草津白根山(群馬、長野県境)が同日午前10時ごろに噴火したと発表した。振幅の大きい火山性微動を観測した。一方、同日午前10時10分ごろ、近くの群馬県草津町の草津国際スキー場で雪崩が発生したと通報があった。警察庁によると、付近で訓練中だった自衛隊員8人を含む12人がけがをしている。うち2人が重体で、3人が重傷、2人が軽傷。残り5人のけがの程度は不明。雪崩に巻き込まれたり、噴火による噴石でけがをしたりしたとみられる。
 スキー場によると、雪崩が起きたとみられるのはスキー場の清水沢付近。スキー場では停電が発生した。
陸上自衛隊によると、陸自第12旅団第12ヘリコプター隊(同県榛東村)の隊員6人が雪崩に巻き込まれたが、いずれも救出された。同隊は当時、草津国際スキー場で計30人で冬季のスキー訓練をしており、残り24人は無事だった。群馬県知事は午前10時51分、同旅団に災害派遣要請をした。

 警察庁によると、軽傷の2人はロープウエーのゴンドラに乗っていてけがをしたとみられる。

 気象庁によると、草津白根山から煙が上がっているとの通報を受けデータを確認したところ、傾斜変動や振幅の大きな火山性微動が観測され、噴火したと判断した。東京工業大の観測で、鏡池付近から1キロ以上飛んでいる噴石も確認されたという。

 草津白根山は2014年以降、火山活動が活発な状況にあり、噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)だったが、昨年6月、火山ガスの濃度が低下傾向に転じているなどとしてレベルを1(活火山であることに留意)に引き下げていた。同庁火山課は、今回の噴火前にレベル2に引き上げるような前兆現象は確認されておらず、事前にレベルを引き上げることはできなかったとしている。

 同庁は午前11時5分に噴火警戒レベルを1から2に引き上げ、さらに同50分に3(入山規制)に上げた。鏡池付近から2キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけている。【杉直樹、飯田和樹、前谷宏】
以上
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[ 2018年01月23日 15:10 ] 山岳ニュース | TB(0) | CM(0)

北ア・小蓮華山 雪崩で1人心肺停止か

北ア・小蓮華山 雪崩で1人心肺停止か
 20日午後1時すぎ、北アルプス小蓮華山船越ノ頭(ふなこしのかしら)の東側斜面(標高約2500メートル)で雪崩が発生し、スノーボードをしていた埼玉県三郷市の会社員男性(40)が巻き込まれた。同行者2人と近くにいた数人が雪に埋まった男性を掘り起こしたが、大町署によると、男性は心肺停止状態とみられる。県警ヘリコプターが出動したが、霧などで視界が悪く、この日の救助を断念。同行者らは自力で下山した。21日朝、県警山岳遭難救助隊員など約20人が地上から救出に向かう。天候を見て、ヘリでの救助を試みる。

 同署によると、男性らは山スキーのため北安曇郡小谷村の栂池高原スキー場から入山。雪崩は男性が滑走中に起きたという。同行者や目撃者が同署や消防などに相次いで通報した。雪崩の規模などは分かっていない。

 長野地方気象台は20日、大北地域に雪崩注意報を出していた。レーダー画像などから、雪崩発生当時の現場付近は晴れていたとみられる。近くの北安曇郡白馬村の最高気温は平年を3・7度上回る4・8度で、3月上旬並みだった。

 小蓮華山の周辺は、比較的交通アクセスが良いことから、山スキー愛好家に人気がある。この日も多くの人が山スキーに入っていたとみられる。雪崩現場近くまで行ったという関東地方の40代男性は、「県警ヘリがホバリングしているのが見えたので心配していた」と話した。
(1月21日)

船越ノ頭は2612m付近のピーク
参考サイト
船越ノ頭〜自然園

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[ 2018年01月21日 22:46 ] 雪崩・落石 | TB(0) | CM(0)

防災ヘリ山岳遭難救助の有料化についてのアンケートのお願い【山と溪谷社からのご案内】

クリック→防災ヘリ山岳遭難救助の有料化についてのアンケートのお願い強調文【山と溪谷社からのご案内】
埼玉県の防災ヘリコプターによる山岳遭難救助を有料化する「埼玉県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」の改正案が成立し、この1月1日より本条例が適用。全国初の公的ヘリによる救助の有料化が始まった。

対象山域や救助手数料などの詳細についは、以下のリンクを参照にしてほしいが、安全登山の啓蒙について一歩踏み出した策に、内外から注目を集めている。

★18年1月1日より埼玉県防災ヘリの山岳遭難救助が有料化。

この決定について、実際に適用される可能性の高い登山者はどう考えているのだろうか? ヤマケイオンラインでは、登山者の意見として今回の「防災ヘリの有料化の是非・賛否」についてアンケートを実施する。

アンケートの質問は8つで、簡単に回答できるものとなっているので、ぜひアンケートにご協力いただきたい。

アンケートはサイトにクリックする

管理人の回答 (一部編集しています)
自衛隊と警察との整合性について
民間でやれないことは公費を使ってやっている。海や川は変わらず無料ということは懲罰的な意図があるようだ。それでは理解は得られない。
その他
登山は自己責任の下に楽しむスポーツである。ただし自然がフィールドなので事故の可能性は高い。またグレーディングがない状況で初心者が向かったとしても無謀とは言いがたい。結果として無謀だったと分かる。事前のチエックが働く登山者になるまでは修行がいる。そんなことにつながれば良いが・・・・。ヘリが有料化すると人道的な出動もなくなる。救助要請が契約になる。払うか、払うなら救助してやる。滑落してケガで苦しんでいる登山者に代って他人が依頼する事例もあるだろう。本人が依頼もしないのに(人道的に)救助に来てもらわなくてもいい、救助されてもカネは払わんぞ、という風潮も出てくる。カネがからむと裁判になる蓋然性が高い。条例を推進した自民党議員は支持を失う気がする。
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[ 2018年01月19日 18:12 ] 山岳ニュース | TB(0) | CM(0)

山岳遭難者に救助費用を請求 金額は… 埼玉で改正条例を初適用

山岳遭難者に救助費用を請求 金額は… 埼玉で改正条例を初適用
全国で初めて、公的なヘリによる山岳救助を有料化する改正条例が1月から施行された埼玉県は19日、条例を初適用し、県の防災ヘリコプターで救助した山岳遭難の登山者に、手数料を徴収する通知を発送した。

 県などによると、登山者は県内の60代男性。16日午後、同県小鹿野町の二子山で滑落し、防災ヘリで救助された。命に別条はない。県は救助に要した58分間の燃料代に相当する5万5千円の手数料を請求している。
 改正条例は昨年3月の県議会で成立。対象は県内6カ所の区域で遭難した一般の登山者で、林業従事者、学校行事や救助活動で山に入った人などは除かれる。
 地元の山岳連盟などからは条例に対し、登山客の減少を懸念する声も上がっていた。
以上
 地元の受け止め方
 【埼玉】ヘリで救助した際の費用を徴収 5分で5000円 十分な準備をせずに遭難する事故を抑止するため
以上
二子山の地形図。
岩尾根を歩くコースがあり面白い山なのだろう。1/16に登山中に滑落したというから初心者ではなさそうだ。


救助要請もついに有料化の時代を迎えた。
本当は今までだって覚悟を決めて登山するべきだった。考えの甘い人は無料の空飛ぶ救急車くらいの認識だったであろう。
多額の請求金額になると家族に内緒とか連絡もしないと揉め事になる。登山者と救助要請を出す家族との綿密な打ち合わせが必要になる。山岳会に所属している人も遭難の際の救助捜索の出動システムのタイミングの見直しが必須となった。
山岳連盟の共済保険も登山届けや計画書の提出が前提であり、山岳会の管理下にある登山についてのみ保険金が支払われる仕組みである。未所属で無保険の人など保険でカバーされていない登山者は大変な出費を覚悟する必要がある。
救助活動には多額の現金が要る。有料となれば人道的な計らいでの出動ではなく、救助要請は契約の一種と考えられる。
自力下山可能なら遠回りでも自力で下山してヘリ出動を回避したいところだ。
一方で、骨折などで下山不可能なら有料覚悟でヘリコプターの出動を要請する。
そんなことになるだろう。
 
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[ 2018年01月19日 17:55 ] 山岳ニュース | TB(0) | CM(0)

山岳遭難救助隊長にきく 冬山登山 最低限の心がけ

クリック→山岳遭難救助隊長にきく 冬山登山 最低限の心がけ
夏山登山の経験を重ねた方で、冬山登山に挑戦しようという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、冬山は、装備や必要なノウハウなどが夏山とは全く異なります。何がどう違うのか?冬山登山に必要な最低限の心がけを長野県警山岳遭難救助隊長に聞きました。
                
冒頭~ 冬山における山岳遭難状況・基本的な心がけ
1分47秒頃~ 必要不可欠な冬山専用装備品
4分02秒頃~ 登山道での注意点
6分00秒頃~ 山頂付近での注意点
6分47秒頃~ 下山道での注意点
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[ 2018年01月18日 18:57 ] 基本情報 | TB(0) | CM(0)

スキー場で不明の男性を救助…雪穴掘り一晩

スキー場で不明の男性を救助…雪穴掘り一晩
新潟県のスキー場で15日から行方不明になっていた男性が16日、救助された。雪穴を掘って一晩を過ごしたという。

救助されたのは長野県小布施町の農業・久保禮一さん(73)。警察によると、久保さんは15日に日帰りで新潟県妙高市のスキー場に1人で出かけたが、夜になって連絡が取れなくなった。久保さんは16日午前10時ごろ、「スキー場中腹のレストランにたどりついた」と家族に連絡し、警察に救助された。ケガはなかった。

久保さんは自然の雪山を滑るバックカントリースキーをしていたところ、道に迷い、雪穴を掘って一晩を過ごしたという。

久保さん「暗くなってから見えなくなってからではだめ。早めに(雪穴を)掘って決断した方が良いだろうと。みんなに迷惑かけたことが非常につらい」

警察はバックカントリーをする際は登山届を提出し、暗くなる前に引きあげるよう注意を呼びかけている。
以上
 雪穴を掘ってビバークするなど確かな判断力を持った経験者である。五体満足で自力下山であるから遭難とは言い難い。家族が捜索願を出してしまったから下山して連絡した時点で救助という表現になるのだろう。登山届が出ていなかったのは地元の慣れにあってのことか。高齢者が単独でバックカントリースキーなんて、という言外の批判の感じられる遭難報道である。わざわざ報道することもないと思われる。捜索隊が出動してしまうと無事下山しても大きな騒ぎになってしまう。他山の石として心しておかねばならない。

以下に参考サイトを貼りつけた。
スキー場の“コース外”滑降は悪なのか?
このなかで、暗に遭難者を批判するような論調で報じられていたのが、①の野沢温泉スキー場での事例である。当時の一連の報道を改めて見直してみる と、「わざわざスキー場のコース外に入り込んでいって遭難騒ぎを起こし、多くの人に迷惑をかけるなんて……」といったニュアンスが行間から滲み出ているこ とがわかる。
引っ掛かったのは、これがそれほど叩かれなければならないことだったのか、ということだ。
スキー場のリフトやゴンドラを 利用してゲレンデトップまで上がり、そこからスキー場の管理区域外に飛び出していって、人の手の加わっていない自然のなかで滑降を楽しむというのは、バッ クカントリースキーやスノーボードでは当然のように行なわれていることである。もちろん、管理区域外で滑る以上、雪山に潜んでいるさまざまな危険に対する リスクマネジメントを含め、そこでの行動はすべて自己責任となる。それは雪山に入っていく者ひとりひとりが持つべき心構えであり、バックカントリー愛好者 も充分理解していることだと思う。
報道を見るかぎり、野沢温泉スキー場の件でも、遭難者はバックカントリーの経験が豊富で、装備もそれなりに持っていたようだ。少なくともリスキーな場所に入り込んでいくという認識はあったに違いない。だが、それでも遭難は起きてしまった。
彼らにも反省すべき点は少なからずあるだろう。だが、それにしたってちょっと叩き過ぎではなかったか。1月11日付の『東京新聞』によると、警察で事情聴 取を受けた際に、遭難者の態度は「そんなに悪いことですか?」と言わんばかりだったそうだが、態度云々の善し悪しは別にして、そう言いたくなる気持ちはわ からないでもない。バックカントリー愛好者にとってのフィールドはゲレンデはなく、あくまでスキー場から外に出たところなのだから、“コース外”で滑った ことを槍玉に挙げられるのは的外れというものだ。

余談だが、同スキー場を抱える野沢温泉村では、管理区域外を滑走するスキーヤーやボーダーがあとを絶たないことから、管理区域外で遭難して救助さ れた者に対し捜索救助費用の弁償を求められる「野沢温泉村スキー場安全条例」を2010年12月から施行している。結局、このケースでは条例の適用が決ま り、遭難者に捜索救助費用が請求されることになった。

この事例に限らず、前述した今年度のスキー場絡みの遭難事故の報道を見てみると、どうもマスコミや世間一般には「“コース外”滑走はケシカラン」 という認識があるように感じる。それはバックカントリースキー・スノーボードというものが正しく理解されていないことが大きいと思うが、と同時に「コース 外」「滑走禁止区域」といった言葉がはっきり定義されず、混同されていることも一因になっているのではないだろうか。

当然のことながら各スキー場は管理者によって管理されており、その一定範囲を「管理区域」と呼ぶ。スキー場の管理区域内には滑降可能な「ゲレン デ」や「コース」が整備されており、一般スキーヤーやスノーボーダーはリフト券を購入してこれらの滑降可能エリアを滑ることになる。ただし、同じ管理区域 内であっても、雪崩等の危険がある一部斜面などは「滑走禁止区域」「立ち入り禁止区域」とされ、スキー場利用者がそのエリア内に入り込むことは固く禁じら れている。たとえ準備万端整えたバックカントリー愛好者であっても、この滑走禁止区域を滑ることはルール違反となる。
話がややこしいのは、ス キー場の管理区域外の呼び名が混同されていることだ。「管理区域外」といえば単純明快だが、報道ではこの言葉はほとんど使われておらず、同義語として 「コース外」「滑走禁止区域」という言葉が多用されている。ただし、記事によっては管理区域内の「コース外」「滑走禁止区域」を指している場合もある。こ のため、事故が起きたのが管理区域外なのか、管理区域内の滑走禁止区域なのかが非常にわかり辛い。

管理区域内の滑走禁止区域をあえて滑って事故が起きたのであれば、それは非難されてしかるべきだ。あるいは、バックカントリーの知識も装備もな く、ただその場の思いつきで「オフピステを滑りたい」からと管理区域外へ飛び出していって遭難した場合も同様だろう。しかし、バックカントリー愛好者が自 己責任のうえで管理区域外で活動した結果の事故までが、それらと同列に扱われることには抵抗を感じてしまう(管理区域外での滑走について、スキー場が定め ているローカルルールに従っていなかったのなら話は別だが)。
もちろん、いずれにしても遭難したという事実に変わりがあるものではなく、その責 任は当事者らがとるべきだ。ただ、スキー場の滑降可能エリア以外での遭難事故を、すべて「コース外を滑って遭難」という慣例句に当てはめるのは、いい加減 やめてもらいたい。事故の経緯や状況が正しく報道されないかぎり、バックカントリースキー・スノーボードに対する偏見はなくならないだろう。
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[ 2018年01月17日 01:34 ] 行方不明(道迷い) | TB(0) | CM(0)

84歳男性、山岳遭難か 君津・清和県民の森へ「散歩」

84歳男性、山岳遭難か 君津・清和県民の森へ「散歩」

14日午後3時15分ごろ、君津市内の老人ホームに入居する男性(84)が同市豊英の清和県民の森ハイキングコースに行って帰ってこないと、施設関係者から君津署に通報があった。署員らが同日と翌15日に男性を探したが、行方不明で、同署は山岳遭難とみてきょう16日も捜索を続ける。

 同署などによると、男性は14日午前9時半ごろ、同じ施設に入居する妻(79)に「清和県民の森にある山の神コースへ散歩に行く」と言い、1人で車で出掛けた。男性の車はコース入口近くの林道脇に止まっていた。

 同コースは、房総丘陵にある標高300メートル前後の山道で、全長約670メートル、片道の所要時間は約25分。男性は普段、近くにある別のコースを日帰りで散策していたが、同コースは初めてだったという。

 男性は身長156センチの中肉で、薄紺色のジャンパーに茶色のズボン、白のスニーカー、灰色のリュックサック姿で、スティックを持っていた。テントや寝袋など宿泊できる装備は用意していなかった。

 県警は15日、機動隊や消防など112人態勢でコース一帯を捜索。日本救助犬協会浦安チームも加わったが、犬が入れないような険しい崖もあり、反応はなかったという。

・・・・・84歳でしかも老人ホームに入居中の人とあって驚いた。これからの時代を想像させる事故と思う。なによりご無事で発見されるように祈る。
 地形図では凹凸が分からないが結構険しい地形もあるようだ。散策コースの名の下に手軽なイメージを持たせるのも罪な話である。東海自然歩道でも歩道といいながら実態は登山である。
 房総半島の丘陵地では以前から高齢者の遭難事故や遭難騒ぎが度々起こっている。三角点探しでも経験することだが、平地に近いほどルートファインディングは難しい。低い山だからといって侮らないような注意喚起が必要である。
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[ 2018年01月16日 18:03 ] 行方不明(道迷い) | TB(0) | CM(0)

塔ノ岳~丹沢山

1月13,14日で、Y田さん、K本さんと、丹沢の塔ノ岳、丹沢山へ(三廻部(みくるべ)からの往復)へ行きます。

丹沢予定どおり登り、下山しました。
素晴らしい天気で、大展望でした。
直ぐ近くに富士山、夕日、そして朝焼けと、綺麗な姿をタップリ見せてくれました。
富士の両隣には愛鷹連峰と真っ白な南アルプス、伊豆大島から江ノ島、東京のスカイツリーと、360度、見飽きる事がありません。
毎年この時期に丹沢へ行っていますが、毎回感動を与えてくれます。

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[ 2018年01月15日 11:32 ] 関東の山 | TB(0) | CM(0)

常光寺山1439m(遠州140山)

2019年1月14日(日) 山住神社~家老平・・・・・常光寺山1439m(遠州140山)大展望  登山道の登り約1時間40分

金山7:00~高辻IC~鳳来峡IC~R151~R473~10:00山住神社 約180km 約3時間
*スーパー林道天竜線は2017.12.28~2019.3.31まで通行止め。雪でどこまで入れるか現地判断です。

雪は思ったより少なく、山住神社から家老平までスム―ズに走れた。家老平から登山口の案内板があり1時間30分の表示もあった。最初はほとんど高度をあげない。空気は冷たいが風もなく日だまり山行に終始する。野鳥の森らしく雑木林をカケスが飛び交う。右にはスーパー林道が見えたが1173m辺りから離れて高度があがり急登になった。ちらほらあった雪も出てきて数センチに積もって冬山らしい。
 広い尾根からアセビのからまる痩せ尾根になる。一旦緩やかに下って登り返すとナダクマシロ山1418mのピークになる。手前には地形図にもある大きな崩壊地を通過する。ナダクマシロ山1418mからは意外にも大きな下りが待っていた。北西面のためか雪が凍って滑りやすいので時間がかかった。鞍部から登り返すと山頂だ。点名常光寺の3等三角点である。
 ネット情報では展望がないとのことだったが落葉期の今は360度の大展望だった。仰角の関係か、富士山は見られず残念。20万の地勢図飯田、甲府、豊橋等を広げて山岳同定を楽しむ。(肝心な静岡は紛失した。)伊那山脈や南アルプス深南部の山々(多分麻布山から前黒法師山)、熊伏山の背後の真っ白な木曽駒と中央アルプス、意外な三角錐の恵那山等が遠望できた。南には京丸山が見えたし、遠州灘が鈍く光っていた。
 往路を下山。今年の干支の山犬を守護神とする山住神社に参拝した。御手洗の水も凍結するような厳寒の神社でも宮司が1人居られた。大杉は見ごたえがある。参拝後は神社の北の1108mの三角点に詣でた。常光神の入り口から山道を登ると小社がある。その少し尾根を歩くと山住峠の看板があった。ネット地図で検索すると家老峠になっていた。当初予定した井戸口山の点名は山住山という。水窪ではお買いものついでに双体道祖神を拝んだ。帰路も往路を走った。
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[ 2018年01月15日 11:19 ] 静岡県の山 | TB(0) | CM(0)

鈴鹿・割山

1/14 鈴鹿 神崎橋➡不老堂➡割山
ピストンで戻ります。
雪の状況により不老堂で引き返す事も検討します。

下山しました。
割山(ミズキノ)へは行かず不老堂をピストンしました。
トレースが無かったのでルートファインディングに時間が掛かりました。また不老堂から割山方面へ思いの他傾斜がありピッケルがあった方が安心かなと思い無理せず安全優先の山行にしました。積雪は下の方で10㎝、山頂付近で40㎝程でした。
神崎橋8時➡不老堂10時20分➡神崎橋12時
I 単独
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[ 2018年01月15日 10:38 ] 鈴鹿山脈 | TB(0) | CM(0)

雪崩に巻き込まれ女性死亡…一時雪に全身埋まる

雪崩に巻き込まれ女性死亡…一時雪に全身埋まる
13日午後4時45分頃、新潟県弥彦村の弥彦山(634メートル)の登山道1合目付近で、下山中の女性が雪崩に巻き込まれたと119番があった。
消防隊が約30分後に現場に駆けつけて救助したが、死亡が確認された。

 県警西蒲署の発表によると、亡くなったのは新潟市東区東中野山、会社員本間真由美さん(60)。現場に雪崩のような跡があり、倒木もあった。通報者は「上から雪が落ちてきた」と話し、女性は一時全身が雪に埋まったという。現地の積雪は、村内の弥彦消防署で約71センチあった。
以上

・・・・こんな低い山であっても今回のように急速に大量に降れば雪崩が発生する。ネットで長岡の積雪の深さを見ると13日現在で56センチ、平年比144%になっている。積雪の多さで列車が止まったほどだ。山麓は71センチでもっと深い。登山道は弥彦山の東にあり、北西の季節風の風下に当たる。吹き溜まりになっていたかもしれない。ラッセル中に不安定な積雪を刺激したと思われる。
 鈴鹿でも藤原岳の8合目から小屋の手前までが雪崩が出やすい。過去に2人が雪崩で亡くなっている。遭難碑があるはずだ。急速に大量に降った場合は降雪が止んで落ち着くまで1日は近づかないことだろう。
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[ 2018年01月13日 22:08 ] 雪崩・落石 | TB(0) | CM(0)

浅田次郎『神坐す山の物語』

 浅田次郎。双葉文庫。2017.12.17刊。単行本は2014年に双葉社から刊行。
帯封には”いにしえの神気を漂わせる山を舞台に描く「純然たる日本」の世界。短い文章の中に大きな世界を封じ込めた日本文学の傑作”と謳う。

 東京都の御嶽山が舞台。母が御師の娘だったせいで昔話を聞かされて育ったという。それを浅田流の怪異な小説に仕立てた。言わば母が語り部であり、浅田が書き手になった。遠野物語も原作(種本)があり柳田国男が文語文で著した。
 大衆小説の第一人者の浅田次郎がなぜこんな小説を、と思うが山岳書の世界で怪異な物語本がロングセラーになっていることが影響しているかに思う。例えば山と渓谷社の『山怪 山人が語る不思議な話』は増刷に増刷を重ねている。続編も刊行された。続けて『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』も復刊された。
 本書もその流れに乗ったのだと思う。
 私も小学生の時代、住んでいた小さな農村では狐憑きにあって山へ逃げ込んだ人がいて、火事で鳴らす半鐘を叩いて村人を集めて夜中に山狩り(捜索)がされたことがいまでも記憶の底にある。あるいは2つ3つ年下の近所の男の子が神隠しに遭いこれも大騒動することがあった。山は怖いところだという印象をその時分に叩きこまれたのである。 
 今でも単独行で山中で相手も1人というときは緊張する。女性だと尚さらに警戒心が働く。山をひとりで彷徨う人間ほど怖いものはない。
 さて、過去の日記か報告書のような平易な文体である。登山でもいつしか迷い易い平を歩いていて、とんでもない道に入ることがあって引き返して確かめることがある。だから気をつけていないと何が書いてあるのか脈絡がとれなくなる気分である。それでまた丁寧に虚実の分かれ目をたどるように読み直すことがしばしばであった。
 中でも「兵隊宿」は傑作であろう。東京都の山奥から遥かなる中国大陸の日露戦争の戦場へと導かれる。知ったが終いなのでそれは読んでのお楽しみである。
 御師部落とは山の神に仕える神官のことで、その神官の村。東海地方では岐阜県白鳥町の石徹白が知られる。全戸神官で名字帯刀が許されたという。白山への登拝を代わりにする代参をしたという。


類書
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[ 2018年01月08日 22:15 ] 出版案内 | TB(0) | CM(0)

井上靖原作映画『氷壁』

 管理人のブログ「小屋番の山日記」の2007年8月28日から転載。石岡繁雄氏は2018年1月で生誕100年になる。
 今日は昨年8月15日に亡くなられた登山家石岡繁雄氏の一周忌の集会であった。娘の石岡あづみさんがあいさつに立たれた。父親に瓜二つの横顔が故人を彷彿させた。その後昭和30年に起きたナイロンザイル事件の顛末をO氏が解説された。
 何といっても蒲郡で行われたザイル強度の公開実験でザイルが切断されなかったことが石岡氏の運命を狂わせた。原因は岩角を面取りしたからであった。切断されなかったその事実をおかしいと思った仲間のK氏がこっそり実験に使われた櫓に登って確かめると面取りしてあったという。企業の卑劣な隠蔽工作であった。
 作家の井上靖はこの事件を社会的な広がりのある小説に仕立てた。それが「氷壁」である。朝日新聞連載後昭和32年に発刊された。
 井上靖が石岡さんの「屏風岩登攀記」の書評に寄せた言葉がある。「石岡さんは名アルピニストであると共に、志を持った数少ない登山家の一人である。私は氏の実弟の遭難事件をモデルにして『氷壁』という小説を書いているが、私に『氷壁』の筆を執らしめたものは、事件そのものよりも、寧ろその悲劇を大きく登山界にプラスするものであらしめようとする氏の志に他ならなかったと思う。」と述べている。
 続いて昭和33年には映画化もされた。大映制作。増村保造監督。脚本は新藤兼人。主演は菅原謙二、山本富士子、野添ひとみ、山茶花究、川崎敬三、上原謙と豪華。
山本富士子

ただし映画ではザイル事件を織り交ぜてはあるがシリアスなメロドラマ仕立てである。しかし映画の中の風景は懐かしい。私は同時代ではないがキスリングといい、カンダハーのスキーといい、トヨペットクラウンの観音開きといい事件の起きた時代をそのままリアルに切り取っている。
 別の北鎌尾根登攀中に凍死した松濤明と芳田三枝子の恋愛も絡ませて複雑にしてあるのはドラマに深みを増す試みであろう。ザイル事件の真相究明とか社会問題とまでは発展させていない。そこが物足りない。が山茶花究扮する魚津恭太の勤務先の上司がさしずめ井上靖の代弁者であろうか。中々いい台詞を吐いていた。
 小津安二郎は世の中のことは大抵は単純なことでもみんなでよってたかって複雑にしているんだ、という。この件にしても企業が謝罪して使用上の注意義務を喚起すればよかったが隠蔽したことでより複雑になった。その後も相次いでザイル切断による死亡事故が起きたからだった。
 ザイル事件の語り部を自認するO氏は一番の犠牲者はザイルの強度実験を指導した篠田軍司氏ではなかったかと思いやるのである。篠田氏は阪大の教授にして登山道具の改良で数々の功績があったそうだ。関西支部長を歴任。その功績も霞んでしまった。九仞の功を一簣に虧くとはこのことである。
 石岡氏は汚名を晴らし、登山用具の改良にも努められた。現在のPL法の先駆的な法律も成立させた。メーカーに対し損害賠償を求めるどころか私財を投げ打って研究改良に挑まれた人生であった。井上靖の言葉の通りであった。
*当時は無かったDVDが2016年12月22日に発売された。ツタヤレンタルは未確認。
ドラマの舞台になった前穂高岳の地形図



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[ 2018年01月07日 03:01 ] 山の映画 | TB(0) | CM(0)

松本清張原作映画『黒い画集 ある遭難』

 山男に悪人は居ないと聞いた松本清張はいやそんなことはあるまいと清張らしい不倫をネタに仕組んで山岳遭難のドラマにしてしまった。スクリーンには若き美人女優の香川京子が花を添える。
 原作は1959年、映画化は1961年と古いために今では姿を消したキスリング、長いウッドシャフトのピッケル、ベレー帽などが登場する。遺体の回収も梱包してザイルで引きあげている。現地の河原で荼毘にふすシーンもある。今ならヘリコプターで一っ飛びですが。夜行寝台車、山岳情報誌『岳人』も登場する。すべてが懐かしい。本格的な現地ロケ、シリアスな山岳サスペンス。89分、白黒。
香川京子
30歳頃の香川京子
 ドラマの設定では冷池小屋に一泊後、キレット小屋まで向ったが悪天候で引き返す。鹿島槍の北峰から南峰を越えて布引山に向っているはずだった。ところが登山道がおかしいと気付いた。実は布引山と思ったが牛首山だったのだ。午後5時になって、3人のうち1人が疲労と雨に濡れた冷えで低体温症になる。寒いにもかかわらず衣服を脱ぎ棄てる。そして黒部の断崖から転落する。楽しい職場仲間の山行は遭難事故で暗転した。
 後は観てのお楽しみです。ツタヤでレンタル。
映画の舞台になった鹿島槍ヶ岳の地形図。牛首山は南峰の左に伸びる尾根、布引山は南に伸びる。視界が悪いと道迷いに陥りやすい地形である。






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[ 2018年01月07日 02:07 ] 山の映画 | TB(0) | CM(0)

先人に学ぶ・・・真の登山者への道

 リーダー研修として座学を担当したことがあった。依頼されてから考えたテーマは「先人に学ぶ」ということである。昨今は登山歴の長いベテランリーダーでも遭難事故を起こすことからかねてから考えていたことをまとめるためにも引き受けた。
 主に登山家で生物学者の今西錦司の著書から引用した要点をもって金言とした。
①本当の登山家とは山のことをよく知っている人であり、それゆえ登山家になろうと思えばまず山を知ることから始めなければならぬ。山登りなどは普通の体があれば誰にだってできることで、特に難しい登山術などという術を修練しなければならぬほどのものでもなく、むしろ登山家の間に山の登り方があるとすれば、それは山を知ることに寄って自ずから体得されるところの、山登りの一種の礼儀作法のようなものではなかろうかとさえ、私は考えるのである。中略
 そして経験者といえども、都会生活を送るものが、わずかの暇を盗んで得たぐらいの経験はどうせ大したものではない。われわれは山に対してはいつになっても初心者であるという謙虚な気持ちを常にもっていたいものである。(今西錦司「山への作法」から)


②道がない場合も、あっても迷い易い場合も、藪や滝や岩場の記号があっても目的とするところを完登できる力があれば本物の自然は喜んで迎えてくれる。(西尾寿一「鈴鹿の山と谷」から)
 西尾寿一氏は『渓谷3』の前書きに「修練というのはおそろしいもので、30才から40才、あるいは50才の人が若い登山者とそれほど差のないはげしい登山をこなしている例をよく見る。
 これは若い自分から長年続けてきた経験の積み重ねを貯金として、この貯金を全部引き出さないでもちつづけてきたからにほかならない。登山をまったく行わない同年代の人には到底まねのできない芸当である。」 とも書いている。
 つまり山に全力で立ち向かってはいけないのだ。突破する力も技術もないと悟った際に撤退できる余裕をもつことであろう。年を経れば若い時にはできたこともできなくなる。年相応に対応する知恵を持ちたい。

③出来るだけ先輩と接して見、聞き、そして学ぶことになる。結局は会を仲介として、個人的関係に依存することになるから、教えを受けようとするものの積極的な意欲がなければ成績を勝ち取るわけにはいかぬ。(岳人No126「山岳会」特集の跡部昌三「入会ということ」から)
 跡部昌三氏は名古屋山岳会の創立者。中部地方の山岳界の指導者でもあった。近年ではプロの登山家、登山教室、登山学校、登山講習会といった形で学ぶ機会もあるが学びたい人は山岳会に入会してみて先輩について指導を受ける心得を説いている。今日では封建的とはいえるが重要な方法である。
 封建的とはいえ、会長や指導者と言えども会費は平等に支払う。規約の上では対等である。無償で教えてもらうということは得難いことであろう。御在所の藤内の壁でプロのレッスンを受けると半日で15000円と促聞する。1年分の会費以上の対価を払う。やっぱり、登山の実践を通じて覚えればいい。
 山岳会には①親睦を目的とした会、②冬山と岩登りに特化して活動をする会、③沢登り、山スキーに特化した会、④その他がある。①の親睦の会だと岩登り、冬山などの技術を授かる会員が居ないことがある。しかし、活動領域を縛られずにすむ。オールラウンドにやれる。②③④はそれぞれ熟達者がいて技術指導をうけられる可能性は高い。活動領域を限定することがあるから自由にはやれない。一長一短がある。

④会として成り立っている以上、その行くべき道がある。その一つとして完全な(真の)登山者への育成の問題がある。(登山靴を履いての)岩登りはその技術は登山の技術のエッセンスのように考えられるし、そこに登山の真髄を見出す。従って好むと好まざるとに関わらずある一定のところまでは必ずやってもらわなくてはならぬ。(『山』の跡部昌三「岩登りの目的」から)
 今西錦司の(『山岳省察』ー山・登山・登山者の相互関係) 言葉には「一般登山なるものがはたしてこのようにいわゆるスポーツ的、技術的登山と対立的なものであったかどうか。日本アルプスの開拓者はおそらく岩登りを求めて山へ行ったのではあるまい。しかし、小島(烏水=日本山岳会初代会長))さんが霞沢を越えて上高地に入り、槍や穂高に登ったときのことを考えると、これを俳諧趣味とか、低山趣味的登山とかいってすましておれるだろうか。木暮さんや冠さんが辛酸を舐めて黒部の秘密を探った、ああいう登山を静的登山と称しうるだろうか。中略。しかし遠心的、浪漫的な開拓者たちといえどもかならずしも岩を避け、雪を恐れていたのではない。かれらにとって未知の山岳の不安が大きければ大きいほど、その心は高鳴り、そのためには障壁のいよいよ高く、裂谷のいよいよ深きをつねに求めていたであろう。中略。登山中岩に出くわして岩に登ればそれがすなわち岩登りである。だから一般登山の側に立って考えれば、あえて静的、動的の区別などはなく、いわゆるスポーツ的技術登山もその一つの一表現として、もともとその中に胚胎され、包含されていたので、異端視する必要などさらにない」とある。
 跡部さんも今西さんも岩登りとは垂直の岩壁を登攀するばかりが目的ではないというのだ。その通りである。

以上のことを経験をまじえながら1時間ほど話した。
 遭難事故が報道されると必ずや海外遠征の経験のあるベテラン、登山歴20年の熟練者などの形容で語られる。それでも事故を起こした事実は完全な真の登山者ではなかったことになる。常に初心者であると思いなさい、という言葉には重みがある。
 山に住む人は雲の動き、肌に感じる湿気や気温、風の動きなどをいやおうなく毎日観察している。それゆえこれからどうなる、という予測も可能になる。遊びで山に行く人には到底及ばないわけである。 真の登山者への道は永遠ということである。
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[ 2018年01月05日 00:42 ] 出版案内 | TB(0) | CM(0)

北アと八ケ岳で救助要請3件、無事救助

北アと八ケ岳で救助要請3件、無事救助
越年登山でにぎわった県内山岳では北アルプスと八ケ岳で救助要請が計3件あり、それぞれ無事救助された。

 北安曇郡小谷村の白馬乗鞍岳に山スキーに入り、12月31日に救助要請していた東京都の女性会社員(34)ら男女3人は1日午後0時20分ごろ、県警ヘリコプターで救助された。大町署によると3人にけがはない。31日に入山して道に迷い、白馬乗鞍岳東の沢近くに雪洞を掘ってビバーク(緊急露営)していたという。

 北ア燕岳では1日午前7時55分ごろ、東京都の男性会社員(35)が疲労で動けなくなり救助要請した。男性は同日午後、救助隊員と合流して近くの山小屋まで歩き、2日に県警ヘリで松本市の病院に運ばれた。安曇野署によると、手足に凍傷があるものの命に別条はないという。

 八ケ岳連峰では1日夜、大阪府河内長野市の男性(67)と高松市の女性(68)が宿泊先の山小屋に戻らないと、登山仲間が救助要請。茅野署員らが2日午前9時ごろ、横岳近くでビバークしていた2人を救助した。同署によると2人にけがはない。31日に4人パーティーで入山し、1日は2人一組で行動していた。
(1月3日)

以上
ご無事で何よりでしたね。天狗原はだだっ広い高原なので見通しが悪い。それに新雪でまだトレースも少なくあっても風でさあーと埋まる。天気が悪くなることを考慮して標識旗を立てて行かないと帰路を確保できない。
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[ 2018年01月03日 23:15 ] 行方不明(道迷い) | TB(0) | CM(0)

鈴鹿・御在所岳本谷

御在所岳本谷

12/30 御在所へ行きます。メンバー 単独
中道駐車場⇔本谷⇔山上公園⇔中道⇔中道駐車場
雪が沢山あれば楽しいのですが。
     ↓
御在所、本谷、無事下山しました。
中道駐車場は前日までの雪が、轍となって凍っています。
スカイライン路上も雪で覆われています。期待以上に積もっていました。

本谷は、夏もそうですが、不動滝までの間を高巻で歩く人が多いです。
河原のゴロゴロした岩の上や、小滝を登るのが本谷の正しい楽しみ方です。
せっかく本谷へ来たのに河原を歩かないなんてもったいない。

とても楽しかったのですが、7時30分に登りはじめ、山上のロープウェイ駅に着いたのは12時近くになっていました。いつもは3~4時間で登れるのですが4時間半はちょっとかかり過ぎ。
最近は、御在所中道を下ると翌日必ずひざ痛になります。
酷い時は当日痛みます。還暦+3ともなると、やはり年のせいでしょうか?
今回は良い写真が撮れなかったので、昨シーズンの写真です。 I Y
以上
 2年越しの膝痛が治った膝痛の先輩からいえば、60歳代半ばになりますと、大腿筋の自然の衰えがあります。これを自転車で再度鍛錬してみることです。自転車は膝の関節に響きにくいので効果があります。往復5kmから徐々に距離を伸ばして20kmになりました。
 次はビタミンB系の総合剤を服用すること。少々高価ですが、新聞、TVでよく宣伝しているリョウシンJV錠も効果がありました。私の場合は1月から飲み始め6ヶ月後の6月から3日に1回はサイクリングで鍛錬。3ヶ月後の9月から、あれッ、もう痛くない、と知った時は感激しました。人によっては1ヶ月でも著効があるようです。1日3錠服用です。
 注意するのはインドメタシン系の患部に貼付するけい皮鎮痛剤の常用です。これは患部の血液の流れを止めて冷やして痛みを緩和する仕組みです。根治ではありません。どうしても痛みを取りたいときは医師からもらえばいいです。常用すると私のように根治が長引くと思います。
 今は1日歩いても平気です。翌日も普通に歩けます。少し筋肉痛があるのは仕方ないです。以前は階段の手すりにつかまったり、エレベーターを探して苦労しましたが治ったのです。今シーズンは山スキーも復活します。
 参考として2017年10月に刊行された本を紹介しておきます。
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[ 2018年01月01日 00:02 ] 鈴鹿山脈 | TB(0) | CM(0)
プロフィール

東海白樺山岳会

Author:東海白樺山岳会
 1962(昭和37)年に名古屋市交通局の有志数名が設立。その後一般社会人の親睦の登山クラブとして継承されてきた。40歳代から80歳代の男女約24名(2016年11月現在)が年間を通じて計画的に実践。
 三河、美濃、鈴鹿の日帰り登山、岩登り、沢登り、山スキー、冬山以外にも夏山縦走も楽しむ。皆で誘い合い日本百名山、日本三百名山を目指す会員もいる。個人の志向でぎふ百山、信州百名山、富山百山、一等三角点のピークハントを目標にする会員もいる。
 例会は第1水曜日(都合で火曜日になることがある)に名古屋市中区生涯教育センターで夜7時から8時30分まで。会合は山行への参加を募る重要な場なのでなるだけ出席を。欠席者にはメール、郵便、ファクスで伝達。会報も年間4回発行。総会(事業報告、役員改選、会計報告、規約改正など)は4月に実施。
 イベントは1月の新年会(町)新入会員の入会に応じて新人歓迎会(山で)、年末は忘年山行(1泊2日)、登山、岩登りの初心者の指導練習も適宜練達者のリードで実施。
 会費年間3000円。入会金2000円。別途山岳共済保険加入のための岳連会費と保険料要。現在会員募集中。問合先090-4857-9130西山まで。メールフォームからもどうぞ。

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